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助成対象詳細

Details

2012 研究助成 東日本大震災対応「特定課題」 政策提言助成     

漁村集落におけるコンパクトな「集落内高台移転」の可能性:集落内就労・居住・交通を一体的に実現する方策の提案

企画書・概要

Abstract of Project Proposal

本プロジェクトが対象とする気仙沼市唐桑半島の鮪立(しびたち)集落は、江戸期より気仙沼の漁業において中心的な役割を担い、現在でも多くの古文書や古い建築物が残る歴史的にも重要な集落である。震災によって港及びそれに続く標高の低い地区が特に大きく被災したが、市によって提示された集落の高台移転案は、既存集落から孤立した新たな小集落を生み出すものとなっている。これはインフラへの新規投資を必要とする一方、既存集落への災害対策に投資を回せず、また高齢化が進む集落でのコミュニティの維持に大きな影響を及ぼす懸念がある。椀状の地形を持つ鮪立には既存集落内の高台に十分な移転可能地が存在するため、我々はコンパクトな「集落内高台移転」を軸に、集落内就労・居住・交通を一体的に実現する整備手法を提言する。具体的には、1)集落内居住を可能とする高台移転の候補地と、既存集落の防災性を高める避難路の具体的な路線の検討、2)県が検討している高さ10mの防潮堤計画に代替しうる、既存の地形を生かした防潮対策、3)漁業や加工業に加え、美しい集落の景観や地場食材を使った観光業等、多様な就業形態を実現する土地利用、について政策提案を行い、行政に提言する。

実施報告書・概要

Summary of Final Report

本プロジェクトの対象地である、宮城県気仙沼市唐桑半島鮪立集落は、江戸期より気仙沼の漁業において中心的な役割を担い、現在でも多くの古文書は古い建築物が残る歴史的にも重要な集落である。震災によって港及びそれに続く標高の低い地区が特に大きく被災した後、復興の過程で、高台移転の検討や、県から提案された巨大な防潮堤についての是非の判断といった、重大な課題を集落が抱えることとなった。そこで我々は建築・都市計画・まちづくりの専門家として、学生と一緒に上記の課題解決に向けて、以下の4つの活動に取り組んだ。


1.地形模型やCG、パースの作成

防潮堤計画を含む復興計画に対する住民の理解を深めるために、鮪立湾の地形及び住戸、道路を再現した模型(1/500)を作成した。さらにその上に懸案の津波防潮堤、および大学案の高潮防潮堤を乗せて、両案を比較できるようにした。また、例えば庭先から防潮堤がどのように見えるかなど、防潮堤の大きさを理解してもらうためのCGも作成した。さらに大学案については、今後の港の使い方をイメージしてもらうためのパースも提示した。


2.住民アンケートの作成支援と分析

鮪立街づくり委員会が行った「防潮堤に関する全戸アンケート」の作成支援、および分析を行った。結果として、(1)県案で示されたTP9.9メートルの防潮堤については賛否が分かれており、合意には至っていないこと、(2)避難路の整備を、防潮堤の議論とは独立させて推進する必要があることが解った。


3.復興プランの検討

本助成を受ける前に提案した復興プラン「鮪立港まちづくり計画案v1.0」を踏まえつつ改訂し、「鮪立港まちづくり計画案v2.0」を作成した。これは、TP9.9メートルの防潮堤を築造するという県の提案(以下、県案)にたいして、災害危険区域を広げることでTP5メートルの高潮防潮堤は作るものの、津波防潮堤は作らない案である。これにより、港での就労と減災を両立できる可能性を提案した。


4.活動記録冊子の作成

ほぼ月1回の割合で定期的な会合を鮪立で開き、成果はその都度住民に対して発信してきたが、これまでの活動を改めてまとめたものを発信することを目的として、ブックレット「漁業集落から見た復興の課題」を450部鮪立に送付した。各戸に配布される。


最後になるが、本プロジェクトの実施を通じて、漁業集落が直面する復興の課題を整理し、漁労と減災の両立を目指す大学案をまとめることができた。この提案を参考にして、鮪立まちづくり委員会は、県側に防潮堤の高さの見直しを働きかける。また、成果の発信に関しては上記ブックレットの配布に加えて、2013年度日本建築学会研究協議会資料に、本プロジェクトの成果をまとめた論文が収録された。

成果物

Projects Outputs

プロジェクト情報

Project

プログラム名(Program)
2012 研究助成 東日本大震災対応「特定課題」 政策提言助成     
助成番号(Grant Number)
D12-EA-1009
題目(Project Title)
漁村集落におけるコンパクトな「集落内高台移転」の可能性:集落内就労・居住・交通を一体的に実現する方策の提案
代表者名(Representative)
桑田  仁  
代表者所属(Organization)
芝浦工業大学デザイン工学部
助成金額(Grant Amount)
3,000,000
リンク(Link)
活動地域(Area)