助成対象詳細
Details
2012 研究助成 東日本大震災対応「特定課題」 政策提言助成
復興公営住宅の住まいづくりとそれを取り巻くまちづくりへの提言 ―被災者の体力や行動と被災地の再建過程に応じた地域性の反映
企画書・概要
Abstract of Project Proposal
についての実態把握を行う。そして、復興公営住宅等の「住まいづくり」とそれを取り巻く「まちづくり」について、被災者の生活と被災地の地域性に応じた「必要なところ」を岩手県等の復興公営住宅にかかわる政策との関連で提言する。調査地域は、岩手県宮古市と山田町である。「まちづくり(被災地再建)」で最も重要な安全にかかわる「津波の浸水高」を主な市街地で既に高密度で計測しており、防災面も含めて考察する。
実施報告書・概要
Summary of Final Report
1.本プロジェク トでは、災害復興公営住宅の建設で暮 らしやすい「住まい」と「まち」が実現で きるように、入居希望者の大半が居住する「応急仮設住宅」と「仮設住宅住民」の実態把握を行 った。調査地域は、研究代表者の故郷である岩手県宮古市宮古地区を基本とした。ここは、東 日 本大震災による津波被災地の一つであるものの、相対的に被害が少なく、中心市街地が存続 して いる。
2.調査対象とな った 13の仮設団地は、中心市街地との位置関係や地形的な立地、集会所の 有無、プレハブ造 り等の住宅の構造等から選択された。調査項目は、①仮設住宅内の温湿度環境 の計測、②仮設住民の体力や体格の計測、③心理的健康にかかわる聞き取 り、④ 日常生活での空 間行動にかかわる聞き取 り、⑤仮設住民も含めた被災者の空間行動が展開される商店街の再建過 程の復元とモニタ リング等についてである。調査で解明された仮設住宅の温湿度環境および仮設 住民の体力・心理・行動等の実態に基づき、宮古市や岩手県等の仮設住宅および仮設住民、そし て復興公営住宅や周辺のまちづくりにかかわる政策・施策との関連で提言を行つてきた。
3.成果の概要は、以下の通 りである。①から、阪神大震災等での仮設住宅と同じタイプの「プレ ハブ造 り」では、冬季に部屋間での寒暖の差が大きく (最大居間と トイレで約 8℃ )、 同じ部屋 内でも高さごとに大きな温度差 (床 面が低温で 150 cm高 との差が最大 10℃ 弱)が認められた。 また「プレハブ造 り」が大手住宅メーカー等提供の仮設住宅よりも冬季早朝に平均 3℃程度低温 となった。このような「寒暖の差」については、心筋梗塞や脳卒中等で「突然死」した住民の数 が「プレハブ造 り」で多い傾向がみられることから、生活習慣病にかかわる様々な因子と関連 し つつ、発症の「誘因」となった可能性がある。②および③より、仮設住宅での生活の中では多大 なス トレスと生活空間の狭小化、運動機能の低下等によつて「閉じこもり傾向の高齢者」が確か な数で存在することも分かつた。よって、「集会所対応」以外にも「個別対応」が必要であるが、 マンパワーの確保や支援者との相性等との関係から「個別対応」にも限界があり、高齢者が気軽 にふらりと外出できる「ご近所環境」の再生にも重点を置くべきである。③から「仮設住民が抱 えるス トレスは、前住地の住環境や家族の喪失等が根本的な原因であり、慢性的で簡単に解消さ れるものではない」ことも示唆された。従って、高齢な被災者を孤立させずに身心の健康を保た せるには「住環境」の創出も大事であり、④で明らかになった「行動圏 :住居 (≒ 仮設住宅)か ら道のり最大 l km以 内」で「特に 500m以 内」のできるだけ近い場所に商店や花壇や墓等「′い理 的安定を図れる何か」が様々に点在 していることが望ましい。 特に高台の復興公営住宅の建設 予定地周辺ではこれ らを大いに意識 した「まちづくり」が展開されるべきである。
プロジェクト情報
Project
プログラム名(Program)
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2012 研究助成 東日本大震災対応「特定課題」 政策提言助成
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助成番号(Grant Number)
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D12-EA-1017
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題目(Project Title)
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復興公営住宅の住まいづくりとそれを取り巻くまちづくりへの提言 ―被災者の体力や行動と被災地の再建過程に応じた地域性の反映
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代表者名(Representative)
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岩船 昌起
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代表者所属(Organization)
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志學館大学 人間関係学部
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助成金額(Grant Amount)
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¥3,000,000
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リンク(Link)
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活動地域(Area)
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