HOME

助成対象詳細(Details)

   

2014 研究助成 Research Grant Program  /  A 共同研究助成  
助成番号
(Grant Number)
D14-R-0126
題目
(Project Title)
タンザニアにおける小型水力発電と住民交流を基盤とした環境保全に関する実践的研究
The Practical Study on Environmental Conservation Based on the Pico Hydro Power and Farmers' Exchange in Tanzania
代表者名
(Representative)
黒崎 龍悟
Ryugo Kurosaki
代表者所属
(Organization)
福岡教育大学教育学部
Faculty of Education, Fukuoka University of Education
助成金額
(Grant Amount)
 6,400,000
企画書・概要 (Abstract of Project Proposal)

アフリカ諸国の多くの農村地域で経済の活性化と環境保全の両立が喫緊の問題となっている。特に、効果を得るまでに時間のかかる環境保全事業へ住民の継続的な参加を促す手法を深めていくことが不可欠である。私たちはこのことを念頭に、これまでタンザニア南部高地の諸地域において実践的地域研究を進めてきた。2010年以降は、環境保全の強力な動機付けとなる小型水力発電に着手し、現地の住民主体の水力発電に学びつつ、日本の在来技術も応用し、さまざまな河川環境に対応する小型水力発電の実践に取り組んできた。途上国における開発支援は「マイナスの状態からの復興」が目的化されがちであるが、電力利用という現代的ニーズを満たしつつ、かつローカルに展開し得る技術は、地域のポジティブな発展に大きく寄与し、また、住民主体の環境保全の原動力となる可能性を秘めている。本企画では、私たちが活動を展開してきた4地域間の住民交流事業を積極的に進めることで、相互に刺激を喚起しつつ、発電技術・環境保全技術の適正化と社会への定着を図る。そのプロセスを学際的視点から記録し、住民を主体としたエネルギー地産地消型の環境保全活動のモデルを展望する。

     It is indispensable to satisfy both of vitalization of rural economy and forest resource management in rural Africa. It is especially important to promote continuous participation of rural people in environmental conservation which takes long time to be effective. To keep this in mind, our team has conducted practical research to support endogenous rural development in some areas in southern highlands of Tanzania. Since 2010, we have started small trial of pico hydro power which is supposed to stimulate people's motivation of afforestation and environmental conservation. We have made the pico hydro power systems which adopted to fluvial environment by learning from pico hydro powers made by rural people's spontaneous initiative as well as ideas of Japanese traditional turbine.  
     Technical assistances in developing world tend to aim "recovery from bad condition". However, pico hydro power, which meets the recent socio-economic needs by applying the technology available in rural areas, may contribute to positive rural development as well as to promote motivation for environmental conservation.
     In this project, our team aims to promote pico hydro power with environmental conservation activities through farmers' exchange programs among 4 areas where we have been working. By doing this, we including Japanese researchers and technicians, stimulate each other creative improvement of generating technology and environmental conservation technology. These technologies will be improved appropriately for each community's environmental and social contexts. We document and examine the process from the interdisciplinary views and put the results in perspective for environmental conservation model-local production for local consumption of energy in rural Africa.

実施報告書・概要 (Summary of Final Report)

<プロジェクトの概要>
アフリカの農村地域では経済の活性化と環境保全の両立が急務であり、特に効果を得るまでに時間のかかる環境保全事業へ住民の継続的な参加を促す手法の考案が必要である。このことを念頭に、本プロジェクトでは、電力利用という現代的ニーズを満たし、また、水源保全など住民主体の環境保全の原動力となる可能性を秘めている小型水力発電に取り組んだ。タンザニア南部高地に位置する4地域間および日本人研究者間で住民交流を進め、地域住民のイニシアティブやアイデアを尊重しながら、発電技術・植林技術が各地域の生態・社会文化環境に定着していくことを支援した。そのプロセスを学際的視点から記録・分析し、現代アフリカにおけるエネルギーの地産地消を基盤にした環境保全活動のモデルを展望することを目的としていた。本企画は 2 年間で、現地調査・国内研究会・成果発信で構成された。
現地調査に関しては、主な実践活動の拠点をモンバ県とムビンガ県それぞれに位置する2つの農村と定め、各村で組織された住民グループとともに先進地域との住民交流を組み込みながら諸活動を進めた。モンバ県の対象村では、それまでの試行のなかで抽出された課題を住民とともに多角的に検討し、それらを克服するための新しいタイプの水車(投げ込み型水車)を設置した。乾季・雨季をとおして住民自身が自ら電気の利用管理できるようになるなど、一定の成果が見られた。一年をとおして川の流量の変化と電気の発電量の関連を体験したり、住民交流のなかで保全に関連する経験を共有することによって環境への意識が深められていった。一方、活動に参画していない住民の電気利用を低価格に設定するなどを話し合い、平等性を重んじるアフリカ農村社会の事情に配慮しつつ技術の定着を図った。植林に関しては、技術的なこととあわせて家畜による苗の食害を克服する方策として、家畜放牧に関する村内の制度構築などに取り組んだ。ムビンガ県の対象村は、水力発電の発電機が繰り返しアクシデントで壊れたことによって活動が停滞している。比較的高価な物品をどのように管理するか、あるいは安価な入手しやすい素材で代替的な発電機を開発していくことが検討課題として残った。
定着のためには継続的な関与がまだ必要であるが、これまでの試行錯誤からは、地産地消型エネルギー技術の定着を「つくる」・「使う」という2つのフェーズの往復運動として捉え、またそれぞれのフェーズで地域の生態・社会文化環境への適正化を考えることの必要性が明らかになった。また、この往復運動のなかで住民自身による主体的な工夫が促されたが、そうした内発的な工夫があってこそ、住民交流による経験の共有が実質的なものになっていくことが考えられた。
国内研究会に関しては、2年間で5回の研究会を開催した。国内の自然エネルギー利用の現場などを訪問しながら、比較の視点を取り入れつつ本プロジェクトの内容について議論を深めた。

<成果物>
市民社会への発信については、NPOと協力して水車発電に関するものづくりワークショップの開催にあわせて、本プロジェクトの取り組みの情報を発信したほか、8大学を巡回する写真展を実施した。これは、本プロジェクトの対象地域の活動も含め、アフリカのふつうの人びとのものづくりの知恵を広く知ってもらうことを目的とした。学界への発信については、各メンバーがプロジェクトの進捗を関連学会や招待講演で報告したほか、論文や短報にまとめて各種の媒体で発表した。現地社会への発信として、総括的なワークショップを2年目に現地で開催し、その内容を現地語のスワヒリ語でまとめ、ワークショップのリフレクションと今後の活動へ役立ててもらうため現地へ送付した。また、小型水力発電のシステムで必須となる充電式バッテリーの取り扱いマニュアルをスワヒリ語で作成した。


ホームページへのリンク ◆トヨタ財団WEBサイト内関連記事