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助成対象詳細(Details)

   

2014 研究助成 Research Grant Program  /  A 共同研究助成  
助成番号
(Grant Number)
D14-R-0840
題目
(Project Title)
グローバル土地収奪下における持続可能な地域発展のためのアフリカ小農主体の国際共同調査研究 ―モザンビーク北部を中心事例として
Joint International Study on Sustainable Agricultural Development with Small Scale Farmers in the Context of International Agricultural Investment and Land Grabs: The Case of Northern Mozambique
代表者名
(Representative)
大林  稔
Minoru Obayashi
代表者所属
(Organization)
龍谷大学経済学部
Faculty of Economics, Ryukoku University
助成金額
(Grant Amount)
 6,400,000
企画書・概要 (Abstract of Project Proposal)

本研究は、2008年の穀物の国際価格高騰以来アフリカで急速に進む土地収奪について、持続可能なコミュニティ発展の視点から、アフリカ、日本、世界の当事者・研究者・市民社会関係者が共同で取り組むものである。近年、土地収奪などの危機に直面した世界の小農らが自らの組織化と連帯を通じて権利擁護と回復を実現しようとする動きが見られ、国際的な実証研究の後押しを受けて2014年が「国際家族農業年」に定められたが、地域の実態に基づいた政策提言・反映にはいまだ課題が見られる。そこで本研究では、中心事例として、アフリカ2位、世界5位の面積が土地取引の対象とされるモザンビーク、特にアグリビジネスによる土地投資が急激に増加している北部地域を取り上げ、小農らと共に調査研究を行い、実態把握とオルタナティブの提示を含む成果発表を通じて政策への反映を試みる。具体的には、調査研究・政策提言活動のプロセスにおいて、地域の小農・市民社会組織の能力強化を通じた実践を試行し、それ自体を成果の一部として社会に還元することで、農業政策におけるパラダイムシフトがコミュニティレベルで定着し、持続可能な発展を実現することを目指す。

     Increased global interest in agriculture has lead to a surge in large-scale agricultural investments in recent years, and to a growing phenomenon known as "land-grabbing". Public private partnerships (PPPs) are the new trend, whereby host and donor countries work together to facilitate private agricultural investment, many of which favor large-scale development. Facing international scrutiny over "land grabbing," companies are now turning increasingly to contract farming models and out-grower schemes with claims to support small-scale farmers. However, the scope of agricultural development often remains large-scale and oriented to global markets, with financial gains accumulating with the investors and the privileged few.
     On the other end of the spectrum, and as can be symbolically seen in that 2014 is the UN International Year of Family Farming, there has been renewed appreciation for the role of family farming and small-scale farming in poverty alleviation and enhancing local food security. For small-scale farmers, working with diverse crops and in local markets can be more resilient in the face of climate change and unpredictable spikes in international food prices.  
     Mozambique embodies this trend in global agricultural development. The country is moving forward with large scale PPPs, but farmer organizations and civil society are advocating for alternative development approaches to support family farming. This international research project will bring together farmers organizations, civil society, and international academia to conduct a comparative study between contract farming models to alternative approaches proposed by small-scale farmers themselves. Impacts on the livelihood and food security of local farmers will be assessed. Findings will be produced in Portuguese, Japanese and English, contributing to national policy making and to the international debate on the future of sustainable farming approaches necessary to secure much needed progress in strengthening food security and eradicating hunger.

実施報告書・概要 (Summary of Final Report)

■プロジェクトで取り上げた課題■
1)グローバル土地収奪によりアフリカ小農(特にモザンビーク北部小農)が直面する課題
2)パラダイムシフト−−新たな価値の創出と定着における課題
■以上の課題をとりあげた理由■
 1)国際食料価格の急騰を経て、土地収奪は世界的現象となった。食料の工業的大規模生産による大量供給とグローバル(サプライ)チェーンの整備で「世界の食料安全保障」を実現する−−とのパラダイムは、自然が豊かな「低開発/周辺地域」への農業投資の流入と土地収奪を引き起こす結果となった。中でも、住民の圧倒的多数を小農が占めるアフリカでは、自然・暮らし・コミュニティの破壊が生じた。この波は、肥沃な土地・豊かな水源・内陸から港への鉄道を有するモザンビーク北部にも達し、多くの大型投資・開発事業が計画され(日本の官民を含む)、地域の小農の懸念が高まっていた。
 2)一方で、これに抵抗する当事者(小農・先住民族・女性)の運動が世界各地でわき起こり、土地収奪の最前線だけでなく、国際的な国家間の議場にも影響を及ぼしつつあるが、パラダイム転換には至っていない。また、日本ではこのような国際潮流は知られておらず、依然として小農を「貧しく教育水準や生産性の低い存在」「援助や研究の対象」と捉える傾向が根強く、政策立案に影を落とす。
■プロジェクトの目的と手法■
本研究では、モザンビーク北部を焦点とし、地域の小農/運動・市民社会組織(CSO)・日本内外の研究者やNGOと共に、小農の主体性に根ざした能力強化を通じて、「地域コミュニティの持続可能な発展」を最上位目標とし、「小農主体の実証研究に基づく政策提言とパラダイム転換」を目指した。
■プロジェクトのメンバー・実施体制■
【メンバー】次の通り。(1) 日本の研究者・NGO関係者、(2)この分野における世界的第一人者である国際NGO・研究者、(3)アフリカの土地収奪の対象地(モザンビーク北部)に暮らす小農とその運動(*国際小農運動ヴィア・カンペシーナに加盟)、(4)モザンビークの市民社会組織(CSO)。
【実施体制】代表・副代表・事務局の下、次の2つのクラスターを設置。
* ・ 「国際文脈」:理論・言説(ディスコース)・国際動向(国内外の研究者・国際NGO)
* ・ 「現地調査」:モザンビーク北部での現地調査(日本の研究者・NGO+小農運動・CSO)
■プロジェクトの内容■
【調査研究の対象項目】本研究では、次の項目の調査・研究が行われた。
1. グローバル(焦点:モザンビーク北部)土地収奪と小農・地域コミュニティの現状
1)「国際文脈」:グローバル・対象地で生じる土地収奪をめぐる動向・先行研究の収集・分析
2)「現地調査」:地域コミュニティ・レベルの状況把握のための現地共同調査
3)「国際&現地」:各国政府・国際機関・援助機関・企業関係者の文書収集・インタビュー
2. 小農の主体性に根ざした地域コミュニティの持続可能な発展
4) 地域コミュニティの持続可能な発展のオルタナティブに関する現地共同調査
5)「小農主体の調査研究と政策提言」の手法の試行と検討
【調査研究の社会還元】本研究では、調査研究成果の社会還元を同時進行で行うことを目指し、政策・ディスコース・世論への反映を試みた。詳細は、次を参照されたい。
■プロジェクトの発信の方法・対象■
本研究では、次の対象への発信・働きかけを通じて、調査研究成果の社会還元を試みた。
1) 世界的な政策・ディスコース・世論:
(a)国際的に影響力のあるNGOによる報告書の発表(世界およびモザンビーク北部の土地収奪)
(b) 国際小農運動との国際学術大会の共催(2017年4月、ヴィトリア/バスク)
(c)国際学術大会の企画イベント・報告(チェンマイ、ハーグ、ナイロビ、北京、ヴィトリア)
2) 日本のNGO・専門家・実務家・援助関係者・政策決定者・政府関係者・企業関係者:
(a) 国内学術大会でのラウンドテーブル企画・運営(広島)
(b) 議員会館での報告会や講演(東京)
(c) 一般向けのイベント(東京、大阪)、Webサイトやブログでの情報発信、一斉メール配信
(d) 共同研究に基づいた報告書、記事、論文、出版物の作成と発表(一覧参照)
(e) 国際会議、政策対話の場での成果還元、政策への反映の試み(三重、東京)
 

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