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助成対象詳細(Details)

   

2014 研究助成 Research Grant Program  /  A 共同研究助成  
助成番号
(Grant Number)
D14-R-0971
題目
(Project Title)
都市化の限界 ―インドにおけるスマートシティ開発への統合評価手法の適用
Limits to Urbanization: Application of Integrated Assessment for Smart City Development in India
代表者名
(Representative)
手塚 哲央
Tetsuo Tezuka
代表者所属
(Organization)
京都大学大学院エネルギー科学研究科
Graduate School of Energy Science, Kyoto University
助成金額
(Grant Amount)
 5,000,000
企画書・概要 (Abstract of Project Proposal)

本研究の目的は、インドにおけるスマートシティ開発計画の新たな評価手法を構築することにある。中心となるのは、天然資源の管理に必要な「水」「エネルギー」「土地利用」の3項目に、現代の都市開発に求められる「持続可能な開発に向けた人間の行動」を加えた4項目について評価する「四次元評価」である。本研究では、資源の有効利用という観点からスマートシティを定義し、より持続可能な方法で資源の利用に取り組む「資源有効利用都市」という新たな概念の導入を目指す。そしてインドの伝統を重んじながらも現代的な開発の視点を取り入れた、新しい都市開発評価の手法を構築する。現代的な開発の視点とは、都市が科学的に見て十分な強靭さを備えていること、コスト的に実現可能な計画であること、環境に優しいこと、の3点である。本研究で提案する統合評価においては、人間の行動分析も行って最終的な資源需要を予測する。さらにケーススタディにより、この評価手法が新たなスマートシティの建設に応用できることを実証する。

  This study develops a new framework of Smart City development planning in India. It focuses on four dimensional assessment covering three dimensions of natural resource management including water, energy and land use and the human behavior for sustainable development as the fourth dimension in the context of a modern city development. This study attempts to go beyond the general definition of Smart City and to introduce a new concept of resource efficient city which can overcome increasing level of resource scarcity in a more sustainable manner in the future. Definition of smart city used here from a resource utilization perspective. This study attempts to create a new urban development framework for Indian cities which is philosophically based on Indian tradition in one hand and on modern developmental outlook on the other hand which is scientifically robust, economically viable and environmentally benign. An Integrated Assessment Framework for city development has been proposed in this study which is further supported by the human behavioral analysis to derive the final resource demand in the system. This study also demonstrates the way the new framework of city development can be applied for creating new Smart Cities in India. 

実施報告書・概要 (Summary of Final Report)

プロジェクトでとりあげた課題、その課題をとりあげた理由・経緯、プロジェクトの目的
 世界の人口73億人(2016年)の内,インドの人口は13.1億人と中国に次ぐ2位の位置を占めている.一人当たりエネルギー消費量は日本の6分の一程度の値に留まっているが,着実に増加傾向にある.そのインドの今後の成長経路の検討は世界の将来を考える上でも重要となる.
インドでは現在0.65億人がいわゆる都市部に住んでいるが,今後の農村部などの周辺地域からの人口移動により2030年には都市部の人口は3.4億人に膨れ上がると予測されている.その都市部では人口集中により,より多くのエネルギーを消費する傾向にあり,また人口増加に伴う水需給のひっ迫の問題も深刻となりつつある.そこでインド政府は100都市を選定してICT(情報通信技術)を駆使したスマートシティの開発を進めている.しかし,そのインドで開発すべき都市の将来像が確立しているわけではなく,発展途上国特有の問題が山積している.
 そこで,本研究プロジェクトでは,インドで今後目指すべき持続可能な都市像を提示するための都市評価の手法と,インドにおける都市計画のあり方について,インドにおける3都市(プネ,ライプル,ファリダバド)をケーススタディの対象として,日印豪の共同研究体制により検討することを目的とした.具体的には,(1)エネルギー(電力)需給,(2)水需給,(3)生態系の維持,(4)コミュニティにおける住民の考え方と政策過程への参加,の視点から検討を行った.
プロジェクトで実施した研究の内容・方法について
 次の3項目の調査・分析を行い,都市の持続可能性評価の手法を構築,さらにインドの将来都市構築に関する提言をまとめた.
1)インドの都市に対する持続可能指標(Smart Sustainable City Development Index (SSCDI指標と略記))の作成,3都市における推定のためのデータ調査,そして指標の推定.
2)3都市における水需要量とエネルギー(電力)需要量に関わるアンケート調査とその分析.
3)持続可能な都市開発における住民参加の可能性.
SSCDI指標は,社会・生活系指標,経済系指標,エネルギー・環境系指標から構成されており,種々の統計データの調査を実施,上記3都市におけるSSCDI指標を推定した.アンケート調査については,上記3都市において各都市約500件の家庭(貧困層を除く)への訪問インタビューを実施,所得等の家庭の属性に加えて,電力と水の需要量,供給に対する不満・要望,再生可能エネルギーに対する考え方,スマートシティ計画に対する要望を調査した.
プロジェクトの結果およびその発信の方法について
1)都市の規模でのマクロ的な統計分析結果からは,電力,水の需要量が世帯所得と相関を持つこと,電力と水の消費量とに相関関係のあることが示された.
2)水,電力の供給について,十分であるとの回答が多数を占めたことから,将来の望ましい社会像については,貧困,教育,交通などのより広い視点からの分析の必要性が示された.
3)再生可能エネルギーに対する賛否は都市によって大きく異なる結果が得られた.ライプル市において,約7割の回答で反対意見がみられたことは過去の歴史の影響と考えられるも,再生可能エネルギーに関する客観的な知識の教育の必要性が認められる.
4)低所得者層とそれ以外の所得層との意見の相違が認められることから,所得の改善,そして貧困問題の緩和が最優先課題の一つであることが理解される.
5)先進的な技術のニーズも都市によって異なり,将来の望ましい都市像が,地域によって異なることを認識すべきである.そのためには,住民,特にコミュニティの果たすべき役割が重要であり,政策過程に住民やコミュニティからの参加を推進する方策が必要となる.
6)しかし,ICT,特にインターネット技術は,SNSなどの地理条件を超えた人と人との繋がりを強くする一方で,地域内社会での繋がりを弱くする傾向にあることから,住民のコミュニティ参加意識を高め,政策過程への参加を推し進めることのできる取り組みが必要となる.
7)成果の発信は,主として国内外の会議での発表,学会誌への投稿(3本投稿中)による.
インドの都市開発における,“新しい「価値」の創生”について
 インドの都市化によって生じる極度の経済格差の影響を小さくするために,生活基盤(エネルギー,水,衛生),そして教育を全ての人に供給すること,そしてコミュニティ内の繋がりを強くすることが,コミュニティによる自律分散的な独自の都市構築を可能にすると期待される.



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