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助成対象詳細(Details)

   

2016 イニシアティブ助成 Initiative Grants      
助成番号
(Grant Number)
D16-PI-0004
題目
(Project Title)
アジアにおける社会イノベーション調査研究
Research on Social Innovation Eco-System in Asia
代表者名
(Representative)
伊藤 健
代表者所属
(Organization)
慶応義塾大学
Keio University
助成金額
(Grant Amount)
 8,000,000
企画書・概要 (Abstract of Project Proposal)

本事業は、トヨタ財団によるアジアにおける非営利セクターのプラットフォーム構築の取り組みと連動し、アジア5カ国(日本・中国・韓国・タイ・シンガポール)における社会イノベーションを生み出すための生態系(エコシステム)について研究するものである。
研究においては、①各国において行政・企業・非営利組織のそれぞれのセクターの間にどのような協働があることが、加速度的な社会イノベーションの進展に寄与するか、②上記を踏まえた地域間の連携にはどのような可能性があるかについての検討を行う。加えて、各国におけるクロス・セクターでの社会イノベーション事例のケーススタディを行うことでこれらの理論的仮説を検証する。
この研究事業はまた、これまでアジアにおいて開催された国際会議によって形成された社会イノベーションのネットワークに対して、各国での先進的な事例や社会制度が生まれるプロセスについての知見と、アジアを俯瞰する視座を提供する。これにより、各国のセクターが個別にその部分最適を追求するのではなく、地域としての全体最適を見据えて、社会的インパクトを最大化する戦略立案に寄与する基礎調査となることが期待される。
本事業のアウトプットとしては、(1)各国の社会イノベーション・エコシステムについての現状を取りまとめ、その特徴、課題と将来機会についての分析と、各国における政策や戦略についての提言をまとめた5カ国のカントリー・レポート(各国語版、英語版を作成)、(2)カントリー・レポートに基づき、各国の状況を比較分析し、地域間連携の提言をまとめた全体レポート(英語版のみを作成)の2つの報告書を想定する。また、研究期間の末に、各国の研究者を招聘しての東京でのシンポジウムを実施し、日本とアジアにおける社会イノベーションの社会的認知の向上を図る。

This research project is to research, analyze and identify the strategy for eco-system building for accelerated social innovation in 5 Asian countries (China Japan, Korea, Singapore and Thailand) as well as to identify potential opportunities for cross-sector approach as well as regional collaboration to accelerate social innovation.
Toyota Foundation has been working on platform building for non-profit sectors in Asia and the international conference was held in January 2016 in Tokyo.  This initiative has a potential to be a trigger to build up a platform for foundation and non-profit intermediaries in Asia to discuss common agenda for potential collaboration. 
This research will provide important information for further discussion for the network formed by the conference, which leads to the total optimization of the ecosystem in a regional basis, by sharing insights of leading organizations in the five countries.
The output expected by the research project are (1) Country reports on five countries which summarize the current status and analyze strategies and policy options to maximize opportunities for future potentials for cross-sector collaboration for social innovation (2) Project report which provide cross-country analysis, policy recommendations and suggestions for cross-border collaborations with comparative meta-study of each country. These outputs will also contribute the discussion for the series of consecutive conferences.  An international symposium will be held in Tokyo in the end of the project period to share research result.
 

実施報告書・概要 (Summary of Final Report)

【ソウルと東京でのワークショップ】

本研究事業では、初年度に2回、それぞれ2016年11月(ソウル)と2017年4月(東京)にワークショップを実施した。2回のワークショップを通じて得られた知見のうち、主な要点を挙げると、以下の通りである。(1)社会イノベーションにおける非営利セクターと、特にクロス・セクターをつなぐ中間支援組織の触媒としての役割の重要性 (2)これまで偶発的に起こってきたイノベーションを意図的に引き起こすイノベーション環境の俯瞰的な設計の可能性、そして(3)社会イノベーションをインパクトにつなげる制度化・社会規範化(Institutionalization)のプロセス・パターンの分析の重要性である。これらの論点を以って、2年目の事業は構成される。


【欧州での社会イノベーション研究に対する調査と研究交流の実施】

ディスカッションの中で、特に本調査の特徴であるアジアの地域内でのイノベーションの伝播、国境を越えた地域内でのイノベーションの生成プロセスについての論点がハイライトされた。その文脈で、先行研究についてのリサーチを行ったところ、特に欧州において、EUの資金助成により、複数の地域レベルでの社会イノベーション研究が行われていることが理解された。そこで、本研究事業の一環として、このような地域レベルでの社会イノベーション研究がどのような手法とアプローチで行われているかについてベンチマークをする目的で、欧州を訪問して研究交流を実施した。


本研究事業ではまた、複数の国を超えた社会イノベーションの発生・伝播のプロセスを研究するという観点から、欧州における同様な研究を実施する研究者グループとの交流事業を実施した。


具体的には、2017年1月に欧州へ訪問し、英国・ドイツ・オランダ・オーストリアを拠点に、複数の国から構成される社会イノベーションの研究グループへの訪問、並びにこれらの研究グループが主催する国際会議への参加を行い、欧州における同様な観点から実施される研究との交流を行った。それぞれの研究グループはSocial Innovation Exchange (SIX, 英国)、SI Drive(ドイツ)、Transformative Social Innovation Theory(TRANSIT, オランダ)、Impact of the Third Sector as SOcial Innovation(ITSSOIN,ドイツ)であり、それぞれに10カ国を超える研究所や大学等からの研究参加がある。特にSI DriveやTRANSITは、EU等の国際機関から数億円にも上る研究資金を受給して行われる大型研究となっている。これらの訪問においては、公開されている論文等の情報をもとに、研究進捗の動向、特にフォーカスとなるテーマや課題についての議論を行い、本研究事業についての情報提供を行うことで、今後の研究交流についての基礎的な議論を行った。各国の研究者との面談によって、欧州における社会イノベーション理論の現状について理解をすることができたが、特に、複数の研究者に共通した論点「イノベーションの移転可能性」について、既成のイノベーションを移転するのではなく、イノベーションの開発プロセスから移転を視野に入れた開発を行うことが必要条件として重要であることが指摘された。また、欧米中心に発達してきた社会イノベーション研究においてアジアの知見が大きく欠落しており、アジアからの発信が求められていることが確認できた。



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