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助成対象詳細(Details)

   

2016 研究助成 Research Grant Program  /  (A)共同研究助成  
助成番号
(Grant Number)
D16-R-0256
題目
(Project Title)
消失の危機にある琉球の生物文化の記録保存から「生物文化遺産」創出の道を開く
Revitalizing the Endangered Biocultural Heritage of the Ryukyus, a Linguistic, Cultural, and Biological Hot Spot of Extinction 
代表者名
(Representative)
当山 昌直
Masanao Toyama
代表者所属
(Organization)
沖縄大学地域研究所
The Institute of Regional Study, Okinawa University
助成金額
(Grant Amount)
 5,400,000
企画書・概要 (Abstract of Project Proposal)

    消失の危機にある琉球列島の動植物の方言やその利用等に関する生物文化について聞き取り調査し、記録保存する。これらの文化の中から暮らしのなかで培ってきた知識や知恵を探り出し、地域の宝とする。
    生活環境が変化する中で、自然に寄り添って、自然とともに暮らしてきた体験者は年々少なくなっており、調査を急がなければならない。
    調査対象地は、奄美諸島、沖縄諸島、宮古諸島、八重山諸島である。沖縄島に拠点を置き、各諸島には地元在住の共同研究員を置き、調査の効率化と地元との連携をはかる。
    これらの文化について、地域と連携し、次世代への継承と普及を図る。そのため「地域の生物文化遺産」を創出し、遺産としての価値高め、登録、公開(クラウド型データベースを想定)を目指す。そして、「生物文化遺産」の浸透と定着化をはかる。

    UNESCO has designated most of the Ryukyuan languages as endangered: 4 definitely and 2 critically. These languages are now used only by older generations whose daily life continues to be in direct contact with the natural environment; its fauna and flora. Together with the recent degradation in the biological diversity of the islands, the knowledge, recognition and usage of animals and plants is also rapidly disappearing; only remembered as vocabularies in quite diverse dialects of the islands. 
    Therefore, we plan to interview aged persons belonging to the last generation who are familiar with the biological and cultural diversity on the Ryukyuan islands. We will make a scientific inventory of their indigenous knowledge, and a record of narratives on their lifestyles that depended on the rich biocultural diversity of the islands.
 The Ryukyus, divided into Amami, Okinawa, Miyako, and Yaeyama islets will be the main field for our study. Local leaders for each islet group will collaborate with researchers for whom Okinawa Island will serve as the headquarter of study.
    In order to hand down the endangered knowledge systems to future generations, we will construct a renewable database that can be accessed, corrected, and enlarged both by local communities and researchers. This cloud database will serve as a new Ryukyuan Biocultural Heritage and will continue to reevaluate, register, and propagate currently endangered knowledge to future generations.

実施報告書・概要 (Summary of Final Report)

D16-R-0256

消失の危機にある琉球の生物文化の記録保存から「生物文化遺産」創出の道を開く

代表者 当山昌直(沖縄大学地域学研究所)

概 要
琉球列島の島人は古来自然に寄り添い自然とともに暮らしてきた。そのために身の回りの動植物や地形などに地方名をつけて利用し、さらにそれぞれの特性を理解して暮らしに活かす先祖代々の知識と知恵が引き継がれてきた。しかし、琉球列島の自然環境は、開発や第一次産業の衰退等の社会変化により大きく姿を変えると同時に、語り部の高齢化や過疎化などにより、それまで身近な自然を生活の中に多様な形で利用していた文化も、急速に失われつつある。
本研究では、このような文化の危機的な状況に向き合ってきた地域の人々とともに、消失の危機にある琉球列島各地に残る「生物文化多様性」の記録に取り組み、次世代への継承のあり方を探ることを目的とする。また、地域の特徴やそのもつ意味を地域の人々とともに明らかにし、地域についての気づきや興味、さらには深い理解にもとづく自信と希望を育てたい。これを「地域の生物文化遺産」データベースとして公開し、地域を超えた伝統的な知識と知恵の継承と交流の場の創出を目指す。
実施内容や方法については、以下のとおりである。
奄美・沖縄・宮古・八重山諸島の各地において、動植物の方言やその利用等について聞き取りや映像により調査・記録し、データベースを作成する。 沖縄島に取りまとめの本部を置き、代表とコアメンバーで、調査の計画、調整、進捗状況のチェックなどを行い、短期間で効果的な調査が実施できるように行う。奄美大島、宮古島、石垣島に地元の調査員を置き、効率的に広範囲の調査が行えるようにする。また、沖縄島からの調査員が一緒に行う合同調査なども行う。地元の教育委員会、市町村史編纂室、博物館・資料館等と連携を取りながら調査を実施する。また、学校現場や社会教育の主体とともに調査後の地元への成果の還元や普及に取り組める体制をつくる。
成 果
調査活動は、沖縄島の本部メンバーと各地の調査員に分けられる。宮古の池間島と八重山の石垣島で開催されたアダンサミットには地域をまたがって参加した。一方、市町村史編纂事務局などの機関や地元の方々との連携によって多くの話者からお話を聞くことができた。また、与論島を合同調査地域として調査を行い、地元との研究交流を実施した。成果の一環として、以下に示すシンポジウムと報告会を開催した。他に、本研究の概要報告書をまとめた。
◆シンポジウム
人と自然が織りなす世界──奄美沖縄の生物文化
期日:2018年11月23日(金)午後2時~午後5時半
場所:沖縄県立博物館・美術館(2階講堂) 入場料:無料
主催:生物文化遺産プロジェクトチーム
プログラム 司会・進⾏ 高橋そよ(琉球⼤学研究企画室上席URA)
基調講演   琉球弧の農耕文化と生物文化 安渓遊地(山口県立大学名誉教授)
八重山からの報告 八重山のアダン文化   寄川和彦(石垣市立八重山博物館学芸員)
宮古からの報告 宮古のサシバ文化 久貝勝盛(宮古島市史編さん委員)
奄美からの報告 屋敷、アタリの植物と利用 田畑満大(奄美市文化財保護審議委員)
沖縄島からの報告と全体まとめ 奄美沖縄の生物文化──島じまを巡って
当山昌直(沖縄大学地域研究所特別研究員)
パネルディスカッション 座長:花井正光(元文化庁主任文化財調査官)
おわりのあいさつ   渡久地 健(琉球大学准教授)
◆報告会
ユンヌの生物文化をかえりみる
日時 2018年11月25日(日) 午後2時半〜5時半
場所 与論町中央公⺠館(2階大ホール) 入場無料
主催 生物文化遺産プロジェクトチーム
後援 与論町教育委員会
プログラム 司会・進⾏ 中本 敦(岡山理科⼤学講師)
はじめのあいさつ 町岡光弘(与論町教育委員会教育⻑)
主催者のあいさつ 当山昌直(プロジェクト代表)
基調講演 ユンヌとユンイ── 与論島と与那国島の命のとらえ⽅の対⽐
安渓遊地(山⼝県⽴⼤学名誉教授)
報告① 漁師に学んだサンゴ礁の知恵 渡久地健(琉球⼤学准教授)
報告② 島々の植物利⽤── 伝承と歴史的記録 盛⼝満(沖縄⼤学教授)
報告③ 与論の植物 稲田瑞穂(与論郷⼟研究会)
フリートーク ユンヌを語る(進⾏ 当山)
おわりのあいさつ 麓 才良(与論郷⼟研究会会⻑)

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