我が国において科学者が得る研究資金には、①文部科学省の科学研究費など各省の研究費制度による国の研究費（これによる研究を第一カテゴリーの研究と呼ぶ）、②産学共同研究や委託研究など産業界の支援（これによる研究を第二カテゴリーの研究と呼ぶ）がある。これらによる研究は出資者の意向に沿うことや、すぐ役に立つ成果が求められることが多い。このため、研究は所定の枠内でしか行えず、この枠から外れた「純粋な好奇心」に基づく研究（第三カテゴリーの研究）は研究費を獲得できない現状がある。
しかし、人類にとっての普遍で不変の財宝である科学の知識体系は科学者の「純粋な好奇心」によって生み出されてきたものであることを考えると、これら「第三カテゴリーの研究」の支援をすることが極めて重要である。このため、（公財）日本学術研究財団内に設置された「科学と社会研究会」において若手研究者を中心とした分科会活動を行うことで、「第三カテゴリーの研究」の種を発掘し、助成財団等による研究助成につなげるための課題探索研究を行う。